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写真・文:idyllicocean

東京港のサブリナ
釧路港のブルーゼファー

先日,エムオーツーリスト社によって企画されたクルーズ商品の一つ,「釧路フリータイム」に参加した。理由は,\9,980~という超破格な値段と,日本郵船系,近海郵船の美しい「サブリナ」,「ブルーゼファー」に乗船してみたかったからだ。船体はスマートな白で統一されたシンプルで美しいデザイン。ファンネルには北の国,釧路に集う丹頂鶴をモチーフに二羽の鶴が飛翔する美しい姿がデザインされている。ファンネルの特殊な形も美しい。

1日目,釧路への往航は「ブルーゼファー」に乗船した。船内に足を踏み入れると,これまたシンプルかつ,洗練され,調和のとれた明るい空間のエントランスロビーに出た。船内スタッフに案内されてデラックスコンパートの部屋に向かった。デラックスコンパートとは2等特別室のことだが,それは2段ベッド二台,計四名の寝台と洗面台,ちょったした和室と机,テレビとビデオデッキ,海に向かって大きく開いた明るく開放的な窓などを備えたとても快適な部屋だった。フェリーによっては一等とでも,特等とでもなっていてもおかしくない設備が整っている。その快適な部屋に荷物を置いて,まずは船内探検に出掛けることにする。

デラックスコンパートのあるcデッキ前方と,その上のbデッキにはフォワードサロンと呼ばれる船の進行方向,ブリッジの下に位置する大きなサロンがある。乗客はここの窓からブリッジの窓と同じ景観を楽しむことができるわけだ。さらにcデッキ左舷後方には絨毯敷きのチルドレンズルームに加え,軽い食事や喫茶も用意されているコーヒーラウンジがある。このラウンジは明るく開放的で,海を見ながらゆっくりくつろげる絶好のスペースだと感じた。階段を上がってbデッキに出ると,右舷後方にはフェリーでは珍しくカフェテリアスタイルを採用していないレストラン,左舷には海を見ながら名画も鑑賞できるプロムナードギャラリーに加え,簡単な図書コーナーや本船の精巧な模型も展示してあった。

これから始まる*30時間の船旅はこれらの設備をいかに使うかによってその楽しさが変わる。23:55に出港を見てからはまずcデッキ左舷側中央の展望大浴場に入ってあせらずゆっくりとクルージングを満喫する。風呂を上がってしばらくすると船は横浜沖にさしかかっていた。フォワードサロンから横浜ランドマークタワーなど横浜の名所を探すがなかなか見つからない。時計を見てその訳が分かった。時刻はすでに1時を回っている。ランドマークタワーはその美しいイルミネーションを消してしまっているのだ。時刻が遅すぎる。しかし右舷にうっすらと空に向かってそびえ立つランドマークを確認することができた。

2日目の朝は房総半島沖の太平洋上で迎えた。低気圧が近く海は少し荒れている。この日は終日クルージング,1日中船の上というわけだ。船キチには最高なのだが,目的地を急いでいる人にとってはさぞかし退屈な一日だろう。1日中,試行錯誤で船内の居心地のいい場所でひたすらくつろいだ。コーヒーラウンジ,フォワードサロン,スポーツコーナー,潮風の吹く甲板で昼寝。贅沢すぎる旅を満喫しながら旅を続けた。途中,ブリッジ見学もさせていただき楽しい一日を送った。午後3時頃になると船は金華山沖を航行する。この辺りからは釧路まで海鳥たちと一緒の旅になる。ファンネルに描かれた二羽の丹頂鶴と共に釧路へ向かうのだ。

3日目の朝,釧路に到着し朝日に輝く「ブルーゼファー」は本当に美しかった。近海郵船がこの2隻にかけた意気込みに拍手を送りたい。この船のテーマは「自然と親しむ」と聴いていたが,それには最高な船だと思った。

釧路からの帰りは「サブリナ」に乗船した。「ブルーゼファー」とは内装のカラーデザインが少し異なっているだけで基本的には同じだ。釧路出港翌日の朝には福島県塩屋崎沖で「ブルーゼファー」とすれ違い,釧路へ向かうファンネルの二羽の丹頂鶴に手を振った。

東京について夕闇に映えるサブリナの船体もまた美しかった。釧路から1100kmあまりをひた走ってきて東京に着きわずか三時間ほどでまた丹頂鶴の集う釧路へ引き返すのかと思うと「サブリナ」や「ブルーゼファー」が美しいと同時にたのもしくも感じた。それに加えて二隻を安全に清潔に美しく保ち,運行している近海郵船のスタッフにも感謝したいと思った。


*<東京/釧路>航路では東京から房総半島を一回りするのに約七時間半もかかっている。船キチにとってはそれだけ乗船時間が増えるわけであるから歓迎であるが,大洗から苫小牧,室蘭へ向かうフェリーを利用する手もある。これらを利用すれば航行時間は約19~21時間である。(室蘭航路は2010年現在廃止されています)



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