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浴衣でくつろげる温泉旅館~「さんふらわあくろしお」
写真・文:idyllicocean

夕映えが美しい「さんふらわあくろしお」~高知港にて  東京~那智勝浦を経て高知へ向かう観光航路に1997年より新造カーフェリー「さんふらわあくろしお」が就航している。同船は1974年竣工のベテランカーフェリー「さんふらわあとさ」に替わって就航したもので、船内のテーマは「浴衣でくつろげる温泉旅館」。同船に2000年7月13日東京発の便で高知まで乗船する機会があった。

 当日は東京駅からjr京葉線を利用し、新木場駅からタクシーでターミナルに向かった。ターミナルに着いたのは18:30頃。乗船手続きを終え、窓口で料金を支払うと乗船はすでに始まっているとのこと。「3番ゲートから」と案内された。

 3階に上がって3番ゲートへ向かっていたとき、「くろしお」の停泊位置が以前の位置から変更されていることに気がついた。「くろしお」は、以前「さんふらわあとさ」が、そして「さんふらわあさつま/きりしま」が停泊していた岸壁に停泊していた。(以前は地図上d地点から発着していたが、今回はb地点発着に変更されていた。)

 何はともあれ長いボーディングブリッジを歩いて船内にはいると、エスカレーターに迎えられる。そして、エスカレーターよって案内されたところがエントランス兼ダンスホールだ。船内の間取りやサインはbhlのその他のフェリーともよく似ておりbhlの船だなぁと意識させた。

 今回使用する部屋は2等寝台。いわば寝台列車のb寝台である。基本的に4名定員のインサイド部屋できれいなシーツが2枚と枕、羽毛布団、スリッパが備え付けられていた。一人でフェリー旅をしていて困るのが貴重品の管理。とりわけ2等寝台・2等などはこれが頭悩ませる課題である。この点はbhlの「くろしお」でも例外ではなく貴重品管理にはかなり気を使った。

 このhpをご覧の方ならもうご存じのことと思うが、「くろしお」はbhlの「さんふらわあ」フリートの中で最もコンパクトにまとまったフェリーである。とはいえ、船旅に必要なものは揃っており、日常から抜けだして、ちょっとした息抜きを入れる点では問題ない設備を持っているというのが正直な感想だ。下記に船内で気づいた点を簡単にリストアップする。

インフォメーションカウンター エントランスホール
エントランスホール レストラン壁には、大阪商船客船の
ポスターがいろいろ展示されており、
さながら海運博物館のようだ。

「年末年始は温泉で」
キャッチコピーが妙に目をひいた。
(写真下)
レストラン「黒潮」~食券式である。 レストランに展示してある客船のポスター
レストラン(船首方向に向かって)~上記のポスターが見える レストラン(船尾方向へ向かって)。奥にあるカウンターから料理を取る。
展望窓、ラウンジなどくつろぎのスペースはないもののブリッジと同じ景観を見ることが出来る。 展望窓からの景色。
エントランスに飾ってある和風絵画 展望浴室
アッパーデッキ 太平洋を進む「くろしお」
上甲板より正面を望む 上甲板より船尾方向を望む

船内全般
「浴衣でくつろげる温泉旅館」というのがぴったりのレイアウト・デザインだ。日本風の水墨画を思わせる絵画があちこちに飾られており、華美な装飾が避けられた素朴なくつろぎを提供している。

展望浴室
最近の多くのフェリーが設備投資を割愛し、サウナを廃止しているのに対し、「くろしお」にはbデッキにきちんとサウナも併設された十分な広さの展望浴室が設置されていた。

フォワードラウンジ
フォワードラウンジは設置されていないが、前方を見渡せる4つの窓がaデッキ最前部給湯室付近に設置されており、前方の景色を眺めることができる。ただしソファなどが設置されているわけではないので長居するのは結構大変かもしれない。

エントランスホール/レストラン
レストランは、メインエントランスホール兼ダンスホールの後方に設置されており、関西汽船の「さんふらわあこがね」クラスやダイヤモンドフェリーの「・・・ダイヤモンド」クラスとほぼ同じレイアウト。食事は基本的に和洋バイキング制で一律1000円から1500円。味はまあまあおいしいが、バラエティはあまり多くない。船内にはカップラーメンをはじめとする麺類は全く売っていないので、麺党の方は乗船前にどこかで調達されることをお勧めする。とはいえレストランの壁には大阪商船の往年の船旅ポスターが貼られており、とても興味深い。ゆっくりと往年の大阪商船で旅している気分になりながらの食事もなかなかいいのでは・・・。
 
サービス
この不景気の時代・・・、その中でも笑顔を絶やさない乗組員一同の心遣いには頭が上がらない。船体規模・設備・乗員の縮小といった現実の中、レストランの営業時間やその他サービスにおいてできることには限りがあるものの、人そのものの持っている人や海、船に対する愛着がサービスににじみ出ているため、十分にくつろいだリフレッシュされる船旅を楽しむことができた。日々安全航海・メンテナンスに、乗客接待・サービス向上に、努めておられる乗組員一同のみなさんに心から感謝している。


 東京港を出てから3時間、船は相模湾を航行中である。そろそろうねりがでてくるかと思っていたのだがそれほど揺れない。以前「くろしお」はよく揺れると書かれていた記事があったので少し期待していたのだが、やはり最新鋭のフィンスタビライザーを駆使すると相当揺れも軽減できるのだろうか?

 翌日朝、那智勝浦港に入港する。那智勝浦港は小さな島と陸をつないだかのようになっていてbhlの自社岸壁だ。港の施設には南国椰子を思わせる南国性植物が青々と葉を茂らせている。(写真)港の対岸には海水浴も出来そうな(?)海岸。(写真)釣り人は結構いるようだ。ここに約30分停泊する。東京からはちょうどワンナイトなので初めての船旅にはもってこいのルートだろう。今回もパックツアーのお客さんがたくさん勝浦港で下船されていった。

 再び進路を西に・・・紀伊半島潮岬を右に見ながら船はひたすら高知へ・・・。一向に天気は良くならない。どんよりとした薄暗い海。スケジュール上14:00頃には足摺から室戸に向かっている「フェリーむろと」とすれ違うのではと期待したが、天候が悪く確認できず・・・。少し残念。

 今回の船旅ではなかなか天気に恵まれなかったのが残念だった。東京を出てから霧・霧・霧。裏戸大橋をくぐるまでずっと霧の連続だった。裏戸大橋に到達したのが15:45分頃、ついに高知港に到着である。

 久しぶりに見る桂浜・・・坂本龍馬・・・。ちょうどそのとき船内放送が・・・「本船左側に見えております海岸は桂浜でございます・・・」。高知まで来たことを思わせるそんな風景である。

 その後運河のように曲がりくねった裏戸湾を北上、右側には民家や通りゆく自転車がすぐそこに見える。しばらくして小さな島をかわすとそこに大阪高知特急フェリーの「ニューとさ」が現れた。フェリーターミナルである。

 ターミナル周辺に植えられた何本もの南国椰子の木(?)が「くろしお」を歓迎する。(写真)那智勝浦港より格段に多い椰子の木のお出迎えである。「さんふらわあくろしお」はゆっくりと回頭し、船首を西にむけてゆっくりと着岸作業に入る。

 高知港は市内を流れる川の河口につくられた港で、水深は割と浅い。回頭し、スクリューをまわしている間、けっこう泥などを巻き上げてしまうようだ。

 高知について乗船してきた「さんふらわあくろしお」を眺めた。東京港では小さい小さいと思っていた「くろしお」だったが桟橋に横付けされたその姿はやはり大きくたのもしく見えた。

しばらくの高知散策の後、「くろしお」の写真を撮ろうと対岸でカメラを構えると海面に反射する船の明かりと「さんふらわあ」の太陽が非常に美しく見えた。また再会を楽しみに・・・。ありがとう「さんふらわあくろしお」。

冒頭写真:高知港に停泊するさんふらわあくろしお


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