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旅のぬくもりを感じる船旅~「きたかみ」
写真・文:idyllicocean
仙台港中央公園から見た「きたかみ」  2000年7月19日、苫小牧発名古屋行きの「きたかみ」に乗船する。同船の姉妹船「いしかり」には何度も乗船する機会があったが「きたかみ」に乗船するのは今回が初めて・・・。

 jr苫小牧駅には17:40頃に到着。タクシーで港へ向かった。途中周文埠頭に寄港を開始している新日本海フェリーのターミナルに寄って「ニューはまなす」の写真を撮りたいと思ったが、かなりの距離があり料金が10,000円を超すとのことで断念・・・また次の機会に・・・。そのまま直行で「きたかみ」の待つ苫小牧フェリーターミナルに向かった。

 乗船手続きを終えるとすでに乗船は始まっているとのこと・・・。前後に東日本フェリーの「べが」とシルバーフェリーの「シルバークイーン」がそれぞれ停泊している。いつもはそれぞれを撮影してから乗船するのだが・・・今回は荷物が重かったのと、雨が降っていたのとで断念してそのまま乗船した。

 船内に入るとパーサー以下乗組員一同のお迎えを受ける。変わらない太平洋フェリーの歓迎サービスだ・・・。今回のキャビンはa寝台。本当は1等がよかったのだが、一人でフェリーに乗ると占有料金というものがかかるためかなり割高のため断念。できれば1人定員で窓付きの部屋を用意してほしいものだ。それでもa寝台が快適でないわけではない。

 a寝台のキャビンは普通の2等寝台のベッドのカーテンが壁に代わったような構造だ。プライベート性も高く一人旅にはなかなか快適だ。ただ窓がないこと、寝台に鍵がかからないこと、電源がないことなどはやはり多少不便。今後の要望として、せめて鍵と、電源だけはそして欲を言うとビデオデッキとまではいわないが、一応映像入力端子およびヘッドフォン出力のためのオーディオ端子などを設置してくれれば・・・もっと快適なのだが・・・。

welcome aboard kitakami インフォメーションカウンター
喫茶スタンド-フェリカクラブ フェリカクラブ横のリラックススポット
展望通路-船尾方向を望む。奥はスターダストラウンジ 展望通路-船首方向を望む
スターダストラウンジ

「きたかみ」の船内は

単なる移動手段としてではなく

くつろぎの船旅

「旅のぬくもりを感じる船旅」

をコンセプトにデザインされている。

アッパーデッキから船首方向を望む オープンスカイホール
「きたかみ」のファンネル 船上の午後のひととき
 出港30分前には船出の気分を高める銅鑼がならされる。いよいよ出港だ。軽快な音楽と共に「きたかみ」は苫小牧港の岸壁を離れる。「きたかみ」の前にいた「べが」はすでに出港し、沖に見える小さな光の点になっていた。後ろにいる「シルバークイーン」との距離がだんだん離れていく。「きたかみ」はゆっくりと苫小牧港内をすすみ港外にでた。これから名古屋まで40時間にわたる船旅のスタートである。

 太平洋フェリーの船はこれで3回目だ。前回、前々回は「いしかり」に乗船してきた。「きたかみ」は今回が初めてである。船内レイアウトは「いしかり」がカリブ海をイメージした開放的でオープンな雰囲気とは違い、シックに落ち着いたアンティークなオールドイングランド系である。インフォメーション・ショップ・バーには木材を使い、手すりもそれにふさわしいカラーでまとめられている。確かに「いしかり」に比べるとパブリックスペース(とくにヨットクラブやショップ)は多少狭いものの、十分船旅を楽しめる名船である。

 翌日、仙台港入港は午前9時。7時頃起床、フェリカクラブでイングリッシュティーをいただいた。なかなか香りのあるおいしい紅茶である。昨日の夜のスターライトショーで歌っておられた方もフェリカクラブでちょっと一息。これが船旅のおもしろいところだ。そうこうしているうちにレストランがオープン、そして船は仙台港内に・・・。着岸したのも定刻の9時だった。

 太平洋フェリーは、名古屋もしくは苫小牧まで通し乗船する場合でも仙台港での一時下船を許可している。船を下り陸を少し楽しむのもなかなかの楽しみである。いつも仙台港で一時下船し、仙台港中央公園まで行って写真を撮ることにしている。だが今回の仙台港は大雨、すこし散歩するつもりで外に出たが、あっという間にずぶぬれになってしまった。船に帰って展望浴場ですっきりと・・・そしてやはりフェリカクラブで少しくつろぐ・・・。なんという贅沢。

 船内設備はもとより何よりも船旅を快適かつ記憶に残る物にする物はやはりソフト面での充実度だろう。毎回乗船して感じることだが、太平洋フェリーのサービスはやはり一段違う。飛行機のスチュワーデスがサービスのプロとよく呼ばれているが、太平洋フェリーのサービスもそれに負けるとも劣らない。これまでたくさんのフェリーに乗船してきたが、太平洋フェリーほどくつろいだ雰囲気を演出するフェリー会社は他にないのではないだろうか?
 フェリー会社によってはレストラン開店後30分もすると食事トレイの食事がだんだん減ってきて追加もしない会社もかなりある。また朝食・昼食・夕食のメニューが基本的に変わらない会社も多数。でも太平洋フェリーではその心配は全くの皆無である。たとえば今回の「きたかみ」での昼食バイキングはスパゲティにそば、ご飯、パン、カレーライスにハムステーキ、サラダとあらゆる料理がところ狭しとずらりと並べられわずか900円。陸上でもこの値段では食べられない。美しい太平洋を眺めつつ、好きな物を好きなだけ・・・これぞ船旅の醍醐味だ・・・。

 喫茶スタンド-「フェリカクラブ」で、流れゆく海をバックに美味しい紅茶やコーヒーを楽しむひととき、左舷側の展望通路で大きな窓を前に読書に浸るひととき、美しく水平線に沈む夕日を見ながらレストランでいただく太平洋フェリー特選ワインーゆったりとした快適な時を過ごした。

 あいにくの大雨と風と霧のため、通常苫小牧出航日翌日14:00頃から実施されるブリッジ見学と「いしかり」との対航シーンは、今回はキャンセルとの発表が入った。発表時点での海上の状態は確かに薄霧がでているものの1000m位は十分見渡せそうな視界だったので、そのときは少し残念に感じたが、通常のツアー開始時刻14:00が近づいてくるにつれ、気象条件は悪化してゆき、14:00頃には大暴風域の真っ直中を航海中だった。うねりはそれほど無かったのであまり揺れはしなかったが、「これではブリッジ見学は無理だわ」と納得した。

 その夜20:00からも、昨日の夜にひきつづき、ピアノとシンセサイザーをつかったスターライトショー。「love me tender」からはじまり小昔の名曲まで披露していただいた。パーサーや船の乗組員の方のスピーチや、リクエストによる飛び入りの熱唱もあり、突然でもあそこまで歌えるものかと感心してしまった。

 インフォメーション・フェリカクラブ・レストラン「グロブナーハウス」は随時営業しており、通常のフェリーでいつも意識していなければならないレストランの時間をそれほど意識する必要もない。朝食・昼食・夕食ともに営業時間は長いし、仮にレストランが閉店中でも喫茶スタンド「フェリカクラブ」で軽食やケーキ、モーニングセットを頂くことが出来るからだ。それに加え、「フェリカクラブ」の紅茶は毎日種類が替えられるらしく、私が乗船したときは「アッサム」、「ダージリン」などがサーブされていた。

 わたしのように横浜に住む人間が太平洋フェリーを使う場合は、必ず名古屋から仙台まで行くことを強いられる。しかし太平洋フェリーで楽しめるくつろぎの一時は名古屋までの距離を損とは感じさせない。太平洋フェリーでの一時を考えれば、また名古屋から往復・・・そう思いながら船を下りた。

 この不景気な時代にも高レベルの船旅を手軽に提供し続けてくださっている太平洋フェリーのスタッフの皆様に感謝の意を表したいと思うとともに、ホームページをご覧になったすべての方に、太平洋フェリーの船旅を是非一度体験されることをお奨めする。


#126 Posted by Oasis on 2017-12-07 00:22:18
僕は「きそ」と「きたかみ」に乗船したことがあります。
船内設備が立派で、デザインもいいですよね。

#131 Posted by idyllicocean on 2017-12-07 00:22:18
私も乗船経験があります。いい船といいサービスですね。今回乗船時は割れてしまっていた太平洋フェリーのロゴ入りワイングラスを購入しようと思っていたのですが残念ながら最近は作っていないようです。今度乗船の機会があったら是非リクエストして見てくださいね。なかなか雰囲気がいいグラスです。