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感動航海-さんふらわあきりしま
写真・文:idyllicocean


早朝の苫小牧港の「さんふらわあきりしま」
最近、船舶変更などイベントの多いbhlの東京航路だが、1997年9月、この航路は東京から茨城県大洗を経由して苫小牧へ向かう航路、bhlの表現を借りると新・東京航路に生まれ変わった。
就航船に関しては、インテリアに南欧趣向を凝らしたbhl自慢のクルーズフェリー「さんふらわあ さつま」、「さんふらわあ きりしま」で、旧東京航路からの変更はない。

今回は北海道旅行の往航に、この「さんふらわあ きりしま」に乗船する機会を得た。本船は同航路に就航中の「さんふらわあ さつま」の同型姉妹船で、内装は南フランスのイメージで仕上げてある。パンフレット等で情報は入手していたので、内装は基本的に同一、違うのは色合いだけであることは知っていた。それだけに何度も乗船する機会のあった姉妹船「さつま」に対し、本船がどれほど「南フランス」のイメージが醸し出せているかはとても興味深い点だった。

いつものように、東京フェリーターミナルに向かう前にjr新橋駅のローソンで船旅中に食するためのパンやカップヌードル等を買い込む。全部で2,000円分ほどの食料を買い込み30時間の船旅に備えた。それから「ゆりかもめ」に乗車、台場駅を過ぎたぐらいからすでに「きりしま」の赤いファンネルは確認できた。国際展示場正門駅で下車、その後フェリーターミナルまで約20分ほどの道のりをウォークマン片手にさくさくと歩き始めた。


一等b個室。楠本様提供。
思いはこれから始まる30時間の船上生活に馳せていたのだが、フェリーターミナルや乗船する「さんふらわあ きりしま」は目の前に大きく姿を見せたまま、一向に近づく気配を見せない。この当たりは倉庫街のため一つ一つの建物が大きく近くに見えてもかなりの距離があるのだ。もう少しでフェリーターミナルに着くところまで来たとき、優しいトラックの運転手さんが「送ってやるよ」と声をかけ、フェリーターミナルまで送ってくださった。

ターミナルではもう乗船が開始されていたので乗船手続きを終えすぐに「さんふらわあ きりしま」に乗船することができた。エントランスに入ってまず気づいたのが「さつま」とは趣の異なる螺旋階段。もちろん同型なのだが、「さつま」のそれは濃い色合いで統一されているのに対し、「きりしま」の方は淡い色で統一されている。個人的には「きりしま」の方が開放感があるように感じた。「さつま」の時と同じく船室はキャビンb(通称:一等b)。大きな窓と一段ベッド、ビデオにテレビの備わった快適な部屋だ。ちなみに12チャンネルに合わせると本船の現在位置、航海速力、沿岸の天気などの情報を見ることができる。


対航する東日本フェリーの「へすていあ」
深夜23時30分、「さんふらわあきりしま」は、東京タワーやお台場のイルミネーションで輝く東京港を出港した。この後、羽田沖、横浜沖、観音崎を通って房総半島を大きく周り、翌朝の大洗入港まで約10時間。贅沢なクルーズの一日が始まった。

翌朝の日の出は06時頃、船旅の醍醐味である海上からの日の出を見ようとデッキに出た。大洗に寄港するようになってから、航海速力は約22~23ノットと速くなったため、デッキの風も強い。この風の中、デッキで日の出を見ようとしている方々は、bhlが新・東京航路開設記念として行っている「北海道1万円ツアー」の参加者の方が多かった。(*1万円ツアーは北海道到着後、日帰りの観光を行い、その日の深夜に大洗航路に乗って関東方面へ帰ってしまうというコース)北海道より、船旅がメインとなっているこのコースの参加者だけあって、船の上での1秒でも無駄にせずに楽しもうという気合いが感じられた。太陽が姿を現すと皆が待っていたかのように写真を撮り始めた。

大洗港入港は08時50分。船は定刻に着岸し、大洗発の1万円ツアーの乗客がさらにたくさん乗船された。10時25分、大洗港出港、船は再度、太平洋に舳先を向ける。

この新東京航路のダイヤについては、ひとつ残念なことがある。東京行き上り便の大洗港出港は07時40分だから、東京発苫小牧ゆきの本船が08時50分に大洗港に入港する前に、東京行き上り便は既に大洗港を出港してしまっているのだ。大洗港入港が2時間早かったら、もしくは東京行き上り便の大洗港出港が2時間遅かったら、大洗港で下り便と上り便を乗継ぎ、往復20時間程の船の旅をもっと気楽に楽しめたのに・・・。このあたりは今後のダイヤ改正に期待したいところだ。


対航する「さんふらわあおおあらい」
この企画のおかげで、本船の乗客は船上生活の好きな方がたくさん乗船されたので、話も弾み楽しいひとときを過ごせた。bhlのこの企画はなかなか成功しているようで、この値段でこれだけゆったりとした時をお過ごせるなら毎週乗ってもいいとおっしゃている方にも何人かお会いした。

フェリーのダイヤから計算すると、東日本フェリーの<大洗~室蘭>航路,そして本船と同じbhlの<大洗~苫小牧>航路の就航船と白昼にすれ違うはずだ。インフォメーションで聞いてみると、「すれ違っても距離があるので、まず見えない」とか「目視できる距離ですれ違うようだったら放送する」などといった答えしか返ってこない。仕方なくダイヤから自分で計算し、14:00~15:00くらいのあいだに2船とすれ違うだろうとの予想を立てた。

そしてその時間、私はフォワードサロンで前を調べながら、前後に並ぶかのようにして走っている2隻のフェリーを見つけた。急いでカメラを携えデッキに移動し、14:20頃に東日本フェリーの<大洗~室蘭>航路の「へすていあ」を,14:40分頃に同じbhlの<大洗~苫小牧>航路「さんふらわあおおあらい」を左舷側からそれぞれ至近距離で撮影することができた。予想どおり放送はなかったが・・・。対航する時刻が分からないなら適当な返事をせずに「分からない」と答えてほしい・・・とふと思った。

秋の快晴のもと、その後も快適なクルージングは続いた。先ほどから前方を航海していた太平洋フェリーの「きそ」は仙台港に寄港するため進路を左に変え、水平線に消えていった。そしてついに2日目の日没を迎えた。苫小牧港入港まで残すところあと12時間ほどである。海鳥たちは本船の周りを舞い、太陽は三陸沖の山の中にゆっくりと沈んでいく・・・。海鳥と太陽のコントラストが眩しい。東京を出てから28時間目、三陸沖の海上で本当に美しい秋の夕日を見ることができた。

東京を出てから3日目の朝を迎えた。天気は晴れ、すこし雲がかかってはいたが、それがまた幻想的な日の出を演出した。東の空が少しだけ明るくなった午前05:30分。船は定刻に苫小牧港フェリー埠頭に着岸した。苫小牧港着岸後、美しい朝日とともに本船の写真をフィルムに収めることができた。(上の写真)2日目に引き続き本当に美しい朝日を見て「船旅はいいなぁ」と改めて実感した。

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