両船とも、インテリアに南欧趣向を凝らしたbhl自慢のクルーズフェリーで、旧日本高速フェリー時代の「さんふらわあ 11」の名で知られた「さんふらわあ さつま」や、「さんふらわあ おおさか」の代替船として<大阪/志布志>航路に就航したフェリーだ。実のところ、私は当初の大阪航路に就航していた頃にこの新造船、「さんふらわあ さつま」に一度乗船したことがある。そのときのレポートについては前述の「さんふらわあ さつま」の文字に貼ってあるリンクを参照いただきたい。
何を隠そう今回の旅の行程は特殊というか、強引と言うか普通の人なら絶対にしないような旅のスケジュールだ。これは仕事の休みの関係や様々な事情から、まとまった休みが取れなかったためで決してこういう旅をお薦めしているわけではないので誤解しないでいただきたい。
というのも今回の旅、1日目の夜23:30分に東京港を出港、3日目の朝05:30に苫小牧港に到着、その後札幌まで足を強引に延ばし、その日の10:00頃に再度、苫小牧港にリターン、11:30分に同じ船で東京に引き返すといったスケジュールだったからだ。結局、3泊3日、約60時間をひたすら船の上で、しかも「さんふらわあ さつま」の上で過ごすという旅になった。
本船の船内設備については<大阪/志布志>航路に就航していた頃のレポートを参照いただくとして、本稿では、<東京/苫小牧>航路で気づいた点や乗船のアドバイスをレポートしたいと思う。
まず、1日目、東京出航は23:30分になるが、その前にコンビニか、その他のマーケットで食糧と、読み物、電池などをある程度購入しておくことをお勧めする。新しくなったターミナル3階には売店があるがこの時間はすでに閉店してしまっているからだ。またフェリー埠頭のある有明地区に入ってしまうと、コンビニもマーケットもないから、必要物はレインボーブリッジを渡る前か、せめて臨海副都心内で購入しておく必要があるだろう。
出航後一時間~一時間半ほどすると、船は横浜沖を通過する。ランドマークタワーや、ベイブリッジなどの明かりは非常に小さく確認することができる。どうやら船は東京湾のやや房総半島よりを西へ進んでいるらしい。
翌朝は外房沖で迎える。朝9時~10時頃には茨城県沖を通過、その日は終日航海となる。今回のクルーズはほとんど濃霧の中での航海となったため、ほとんど外の風景を楽しむことはできなかった。船から約1m位しか視界のない部分もあったほどだ。船は翌々日の朝、05:30に苫小牧港に着岸する。7月とはいえ、苫小牧港周辺は肌寒く感じた。
<大阪/志布志>航路でこの船に乗船したときは、航海時間が短かったせいかそれほど感じなかったが、今回のクルーズでは、船内のゆっくり海を見ながらくつろぐスペースがかなり少ないように感じた。もちろん前方のサロンやエントランスのラウンジがあるから、それらの場所でくつろぐことは可能である。また、レストランも広々として快適であり、南欧の雰囲気が醸し出されている。とはいえ、もともと14時間の航海用に建造された船だけに、「広々とした」とか、「ゆったり」というイメージではなく、どうもシティーホテルの雰囲気でまとめられているような気がすることも否めない。また大浴場が通称「キャビンb」と呼ばれている個室のすぐ隣にあるというのもどうも納得がいかない。
とはいえ、船は大きく最新鋭のフィンスタビライザーが装備されているためか、今回の航海でも揺れはほとんど感じることがなかった。さらに案内書脇の売店の隅にはレンタルビデオや、ゲームなどが陳列されていて、「キャビンb」以上の船室では設置されているビデオデッキを使って部屋で鑑賞することができる。(有料:レンタル料400円,保証金3,000円-保証金はビデオ返却時に返金される)ただ、レンタルビデオとして陳列されているビデオソフトは約15本程度と少なく、東京近郊に住んでいる方ならtsutaya等、陸のレンタルビデオショップで1週間レンタルでもして、持っていった方が楽しめるかもしれない。
<東京/苫小牧>航路は、航路の性格上霧が生じることが多いらしく、今回のように視界がほとんど霧で遮られてしまうことも多々あるらしい。経験では秋口や春先などは、まだ霧が少なく心地よいクルーズが楽しめるようだ。霧さえ生じていなければ、2日~3日に一度は、10時頃に茨城県沖で僚船とすれ違うのを確認できる。また注意していれば、船からイルカや飛び魚などの動物たちや、海鳥たち、そして、同航路の僚船をはじめ、太平洋フェリーの「いしかり」や「きそ」、近海郵船の「サブリナ」、「ブルーゼファー」とすれ違うのも確認することができる。そのときは300ミリ程度のレンズを装備したカメラで忘れずに忘れずに写真を撮ってください。(笑) この航路の前代就航船「えりも」と「さっぽろ」は大阪航路に転配されることになった。これらの船は当初「さんふらわあ」ではなく、それぞれ「えりも丸」、「さっぽろ丸」として日本沿海フェリーが建造したものだ。
新しい「さんふらわあ さつま」と「さんふらわあ きりしま」を迎えて、太平洋岸の北海道航路は大幅にグレードアップし、さながら北に咲いた「真夏のひまわり」のように、北に南日本の「薩摩」、「霧島」の香りを届けつつ、今日も北海道と関東を往復している。
*写真は苫小牧港の「さんふらわあ さつま」
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