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短距離ながら快適な大型フェリー
写真・文:idyllicocean

Spirit of British Columbia / Spirit of Vancouver Island

 日本の長距離フェリーが主体のこのサイトに海外の、しかも航路長がたったの60kmほどしかない航路を取り上げてレポートするのは何となく気が引け、これまでなかなかレポートしなかったが、実際のところ、今回取り上げるカーフェリー spirit of british columbia / sprit of vancouver island は日本の長距離フェリーと比べても、かなり大型で、設備も整ったものなので例外的に掲載することにした。

 両船の総トン数は約15,000トン、全長は130m、幅は27mほどある。大きさは日本の長距離フェリーに引けるとも劣らないサイズだ。

 両船が就航しているのはカナダ太平洋側、バンクーバー(tswassan)からビクトリア(swartz bay)を95分で結ぶ生活航路である。

 バンクーバーはカナダでも有数のビジネスの町であり、大勢の移住東洋人を含め人口は100万人以上といわれている。日本からは、日本航空をはじめ、カナディアン航空、エアカナダなどが毎日数便の直行便を飛ばしているのでアクセスは割と容易だ。クルーズファンとして、バンクーバーの忘れられない点として挙げられるのは、ここが夏期のアラスカクルーズハブ的存在になっているということだ。プリンセスクルーズ、ホランドアメリカ、ロイヤルカリビアン、ノルウェージャンなど数多くのクルーズ会社が毎年ここをアラスカクルーズの基地として利用している。(もっともノルウェージャンは2000年度からアラスカクルーズの発着港をシアトルに移すようだが・・・)日本のクルーズ会社、郵船クルーズの「飛鳥」や商船三井の「にっぽん丸」、日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびいなす」もアラスカクルーズで、ここに寄港している。

 bcフェリーが結んでいる対岸の町、ビクトリアは、バンクーバーから比べると産業の少ない町である。加えて同市は大陸から約60km離れた離島である vancouver island の最南端に位置しており、 陸路で本土からアクセスすることはできないため、交通は少し不便である。当然の事ながら日本からの航空機の直行便は就航していない。とはいえビクトリア市は british columbia 州の州都であるため、州の政治の中心地である。ダウンタウンには企業のビルが少ないかわりに多くの年代物の政府の建造物が建ち並び、美しいビクトリアのイメージを築いている。なかでも parlament building は夜間にはライトアップされ、その独特の古風の美しさが観光客を魅了している。建造物以外でもビクトリアは3方を海に囲まれた都市で、対岸には頂上に雪を抱いたアメリカのオリンピック山脈を望む非常に美しい町でもある。広大な土地を抱いた庭園ブチャートガーデンも有名である。

 今回紹介する spirit of british columbia / spirit of vancouver island はそんな2市を結んでいる。上述のように、ビクトリアには陸路でのアクセスは不可能であるから、就航している spirit of british columbia / spirit of vancouver island は両市を結ぶ唯一のアクセスとして非常に大切な存在である。航海時間はわずか95分。しかし大型トレーラー、大型トラックをはじめ数多くの車両が大型のフェリーに積み込まれている。生活必需品を運ぶルートとが海路しかないわけだからこの航路の就航船がこれほど大きい訳も想像出来ることだろう。日本で言えば、航路の性格は佐渡汽船のそれと似ているような気がする。

bcフェリーとすれ違ったクリスタルハーモニー さてバンクーバー (tssawassen)を出港した spirit of british columbiastrait of georgia を西航する。ここ inside passage につづく主要な航海路であり、太平洋側からバンクーバー島の南をまわってバンクーバーに入るすべての船がここを航行する。そういうわけでタイミングを合わせればバンクーバーに入港するクルーズシップの写真を洋上から狙うことが可能である。現に私も、クリスタルハーモニーと洋上で対面し、洋上をゆく優美な同船の写真を撮ることができた。(1998年7月)

 甲板でしばらく時を過ごしていると、時折、海の色が緑色から青色にはっきりと分かれているラインを見ることがある。まるで絵の具をこぼしたかのようなはっきりとした色のコントラストだ。その一定のラインを境に東が緑色、西が青色という具合に海の色がはっきりと分かれている。常連客の話によると、このコントラストは山から流れてきた真水と海水とが出会うために発生しているらしい。とりわけ山から大量の真水が流れたときは海水が真水に一時的に押され、気味の悪いコントラストを演出するのだそうだ。

 さて spirit of british columbiaspirit of vancouver island では船体後部にある pacific buffet が人気である。調理部門は、地元カナダで有名なレストランチェーン white spot が担当している。比較的道理にかなった金額で思う存分食べられるビュッフェ形式なので結構人気のようだ。white spot はビュッフェレストランだけでなく船内で提供されているカフェテリアスナックなどの営業も行っている。味はまぁまぁだが、日本人にとっては少し味が濃く感じるかもしれない。

swartz bayに入港するspirit of british columbia さて、この航路の一番の魅力といえばやはり active pass の通過だろう。幅200mほどしかない水路で15,000トンクラスもの大型フェリーが対航するのである。水路はsの字になっていて幅は最狭部でおよそ250mくらい。運行側にとっては霧天のアクティブパス通航は相当神経をつかうことだろう。船上からは島の民家やボートが手に取るように見える。時折このアクティブパスのあたりで、同じ15,000クラスの姉妹船とすれ違うが、かなり迫力だ。アクティブパスを抜けるのに約20分、その後のビクトリア側まで約35分の間は瀬戸内海のようにあちらこちらに散らばる島をよけながらの航海になる。

 航海中、シーズン時にはシャチなどの海の動物たちを見かけることも割と多いので、ネイチャークルージングとしても最適。また夏のクルーズシーズン時は洋上で何隻ものクルーズ客船とすれ違うこともあるので船旅ファンにとっても楽しめる航路だ。しかしながら外観はいかにも箱といった機能重視型。もうすこしなんとかならなかったのだろうか?

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