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ダイヤモンドプリンセス - 夏のアラスカクルーズ
diamond princess alaska summer cruise. june 12th to 19th, 2004

text and pictures by idyllicocaen


スキャグウェイに到着したダイヤモンドプリンセス
4日目-スキャグウェイ
4th day, Skagway.

クルーズの4日目。船はついにホワイトパス・ユーコン鉄道の起点であるスキャグウェイに到着した。このホワイトパス・ユーコン鉄道はゴールドラッシュ時代にアラスカで採掘された金を運ぶために建設された鉄道で、氷河の山々を迂回しながら、カナダのホワイトホースまで約180キロを結んでいる。

現在は金の輸送というより観光用で、アラスカを訪れるクルーズ客などを乗せ、快適な鉄道に乗りながら氷河の山々を見るツアーとして好評を博している。船内からでもオプショナルツアーとして、この鉄道による三時間半の観光を予約することもできるのだが、料金が100ドルオーバーとすこし高価なので、今回はパスした。ツアー参加者は、客船が着岸する桟橋に並んで停車する列車にそのまま乗り込み、ツアーに出発することができる。


ホワイトパス・ユーコン鉄道の駅
スキャグウェイではアラスカ開拓時代の面影を街のいたるところに見ることができた。

ゴールドラッシュ時代に人々がどうやって働いていたか、厳しいアラスカの気候をどのように乗り越えていったのかなど、小さな町とはいえ、歴史を物語る施設が街に溢れている。危険をものとも恐れず一攫千金を目指した開拓者たちのスピリットがこの町には息づいているようだ。


スキャグウェイに並んだクルーズ客船
ひととおりスキャグウェイの観光を終えて船に戻ると、ダイヤモンドプリンセス級の大型客船が3隻、またもやこの小さな港に停泊している。そして後ろには雄大なアラスカの山々。なんとも不思議な光景ではある・・・が、夏のアラスカクルーズシーズン中はこのような光景が何度となく繰り返されているのだろう。さあ、船に戻って夕食だ・・・。


スターリングレストランのステーキ
今晩の夕食は楽しみにしていたアメリカンビーフのステーキ。スターリングステーキハウスに予約を入れている。やはりアメリカの食事といえばビーフステーキ。アメリカでステーキハウスに行けば、まず間違いないとまでつぶやく人もいるほどだ。

そうくれば、アメリカ船であるダイヤモンドプリンセスで供されるステーキにも期待が沸いてくる・・・。テーブルに運ばれてきたのはサーロインステーキ。優に200グラムは上回る量のステーキが星条旗をモチーフにした強烈なデザインのプレートの上に横たわっている。ついに出たなアメリカ!といった具合の強烈なプレゼンテーションだ。口に運ぶと・・・うーんビューティフル!もちろん和牛のようなとろけるようなまろやかさはないが、かめばかむほど旨みが染み出てくる。うまい。うまい。間違いなくうまい。アラスカの町の散策で適度に疲れた体をこのうまいステーキが潤してゆく・・・こうなるとビールもほしいねぇ・・・。こうしてスターリングステーキハウスでステーキに舌鼓をうっているうちに、クルーズ4日目の夜はあっけなく終了した。


トレーシーアーム航行中
背後に雄大な山々が迫る
5日目-トレーシーアーム
5th day, Tracy Arm.

クルーズ五日目、船は楽しみにしていたトレーシーアームへと入っていく。朝起きると窓外の視界に大きな山が・・・。そして良く見ると氷河がところどころ浮かんでいる。うかうか寝てはいられないと思い、妻と既に毎朝の日課となったホライゾンコートに出かけた。一通りの朝食を持って大きな窓際のテーブルに座ると、船が巧みな操船でフィヨルドの中を奥へ奥へと進んでいるのがわかる。水路の狭いところは幅200メートル程と思われる。でもこの水路の中を11万トン、全長290mもの巨船が通航するのだから一大イベントだ。


狭い水路内には氷河が浮かんでいる
見渡す限りの陸地はきりたつ岩・岩・岩。そしてその上にアラスカの針葉樹林が広がっている。このあたりの景観は山がそのまま海に沈みこんだような雰囲気。そして対岸の岩場が手に取るように近くに見える。窓から移り行く針葉樹林をみていると、巨大な船が陸地を走行している錯覚にとらわれる。対岸にせせりたつ巨岩の合間には、奥まった湾が広がっていたり、透明度の高い表がすいが勢いよく流れる滝があったりする。そして海の色は、もはやブルーではなくミネラルがふんだんにしみこんでいるため緑色をしている。この緑色は藻が群生している水に見られるようなどすぐろい緑色ではなく、透明感のある美しい緑色だ。


デッキでは氷の彫刻が・・・
食事を終えて外部デッキに出てみると、ツアーガイドからの景観案内放送がながれていた。注意して見ていれば、野生動物、熊や鹿などが見えることもあるそうだ。狭く奥まったフィヨルドを大きく右に旋回すると、ダイヤモンドブリンセスはついにこのフィヨルドの最奥部に到達した。ゾディアックが船からおろされ、カメラマンがボートから船上の私たちの写真を撮影している。上空にはヘリコプター。アラスカの秘境に来たことを思わせる冷たくて新鮮な空気。そして目の前に現れた大きな氷河の塊。そして目を上に向ければ、上部に雪を抱いたアラスカの山々が巨大な船の背後に迫っている。自然の驚異にため息をつかずにいられなくなる。

素晴らしい大自然に目をうばわれて我を忘れている間、プールサイドデッキでは、フィリピン人クルーによる氷の彫刻イベントが行われていた。氷の塊を出してきては、のみやハンマーでたたいて氷を削り氷像を作っている。氷を削るときに出る「シャリッ、シャリッ」という音が、暑い日ざしを忘れさせ、涼しい気分にさせてくれる。暑い日差しにさらされながらもトレーシーアームの景観を楽しんでいた乗客にとっては、見ているだけでも涼しくなる嬉しいイベントだった。

この日の夕食はインターナショナルダイニングルームにて・・・。これでダイヤモンドプリンセスのすべてのレストランを試してみたことになる。腹ごなしにデッキに散歩にでてみた。緯度が高いのでもう11時近いというのにまだ太陽が照っている。大きな船の外部甲板をゆっくりと一周。クルーズの乗客は思い思いにゆっくりとした旅の風情を楽しんでいる。船尾近くを歩いていたときのこと、ある老夫婦がwhale! whale!というのでその方向を見てみた。確かにホエール。大きなクジラが三匹、時折、潮を吹きながら悠々と泳いでいるではないか・・・。ながれる雄大な自然を楽しみながらダイヤモンドプリンセスでのアラスカの夜は更けていった・・・。


ケチカンに到着
6日目-ケチカン
6th day, Ketchikan

クルーズ六日目は、アラスカンサーモンで有名なケチカンを訪ねた。桟橋に降りるとチーク材で丁寧に作られた乗下船用のデッキが哀愁を漂わせている。ダイヤモンドプリンセスの着岸した岸壁のすぐ隣りはちょっとしたヨットハーバーになっていて浮き桟橋を散策するのも楽しい。ケチカンの町もアラスカのほかの町と同様、小さな港町でクルーズシーズンのみ観光客で混み合うようだ。チーク材で作られた観光用のショッピングストリートには宝石やサーモン、毛皮の土産物店など、おなじみの品物がたくさん並べられている。そしてこの町並みの一角にはケチカン名物のケーブルカー乗り場がある。ケーブルカーに乗り急勾配の斜面を上っていくと、ダイヤモンドプリンセスをはじめ、ケチカンの町全体が手に取るように見渡せる。そして到着したのは小さくてロマンチックなレストランをもつ頂上駅。頂上駅のまわりはちょっとした庭になっていて、歩きつかれた足を少し休ませることができる。


シャンペンタワーにシャンペンが注がれる
船に戻ると、船内はクルーズ二回目のフォーマルナイトの準備が行われていた。エントランスロビーではクルーたちが真剣なまなざしでシャンペングラスを何百も積み重ねてタワーを作っている。食事が終わりエントランスに向かうとちょうどプリンセスクルーズの特徴でもあるイベント、シャンパン・ウォーターフォール・イベントが始まろうとしていた。集まった乗客にシャンパンタワーを倒さないようくれぐれも注意してほしい旨、パーサーがお願いしている。そして何でも、このシャンパンタワーにシャンパンを注いでいる姿を記念写真にとるのはいかが・・・と宣伝している。よく見るとシャンパンタワーの間にカメラレディーが待機して写真をとる準備をしている。

音楽が鳴り出し、まずはクルーにより、シャンペングラスタワーのトップのグラスにシャンパンが注がれはじめた。心配そうな眼差しで四、五人のクルーが万一に備えて待機している。無事、シャンパンはトップのグラスからこぼれ出し、次々に下のグラスへと流れ出した。これこそまさにシャンパン・ウォーターフォールだ。気がつくとウェイトレスがシャンパンを見物客全員に振舞っている。通常、船内ではアルコールは有料だが、今日は船からのサービスらしい。シャンパンを頂き、幸せな気分でエントランスを眺めていると、音楽が急にハイテンポなラテン曲に替わった。そして見る見るうちに乗客たちは一斉に一列に並びだしダンスを踊りだしたのだ。クルーたちも先頭にたって踊って踊って踊りまくっている。フォーマルナイトのディナーの後で、正装した大勢の大人たちが少年少女に戻って無邪気に踊っている姿は微笑ましかった。エントランスホールは既にフェスティバル状態だ・・・。このようにしてクルーズ6日目、二回目のフォーマルナイトは過ぎていった。

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