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「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」マレー半島南下クルーズ 2/4
Legend of the seas one night cruise report on December 27th to 28th, 2010

text and pictures by idyllicocaen


プールサイドのピッザリア

ランチブッフェ
ランチは外航クルーズ客船ではおなじみのブッフェ形式。プレートを片手に好きなものをセルフサービスでとってテーブルで頂く形式。wind jammer caffeの手前のプールバースペースではハンバーガーをグリルしており、あつあつのビーフバーガーパテがサーブされていたのだが、これが大人気で行列となっていたため、並ぶのが嫌な私達はパス、レストラン内部に並べられた料理を頂くことにした。

まず、最初に驚いたのはランチで供されているプレートがプラスチック製だったこと。ブッフェで使用されているコップもプラスチック製だった。それに加えてブッフェで供されている料理もアツアツではなく、作り置きされてラップで包まれていたものが多かった。ハンバーガーパテや、焼肉のような温度が決め手となるようなメニューでさえ、冷めてしまっているものが多く正直美味しくなかった。強いて言えば、美味しかったのは数点のデザートプレートだけだった。とはいえプールサイドにあったピザハウスで供されているピザは、ペパロニとチーズを試したがどちらも美味しかった。


デザートブッフェ

ブッフェレストランは船の船首部前方に位置しており三方向に大きく窓が設けられている。このため外光がさんさんと入り、室内は明るく開放的で気持ちいい。二人掛けやカウンター席も豊富に設けられており、プライベート感も楽しみながらゆったりと食事をすることができる。ただこの時は冷房の効きにムラがあり、窓側の席は非常に暑かったため、内側の席で食事を楽しむことにした。

悪い点ばかり書きたいわけではないのだが、このときのウェイター、ウェイトレスの対応もかなり訓練不足でプアーだったといわざるを得ない。まだ食事が載せられているプレートにも関わらず、フォークとナイフごと下げられてしまったり、あるときは一向にプレートの回収が行われなかったり・・・。料理にいたっては補充が遅く、客が自分でラップをあけて料理を取ったりするような光景もあった。今回のクルーズでは中国系乗客が多く彼らのマナーも悪く、レストランは大声で話す乗客の声が騒々しかったため、残念ながらゆっくりと食事を楽しむには程遠いランチとなってしまった。


エントランスロビー上部deck 6には
シアトルズベストコーヒーが出店している

程ほどにランチを楽しんだ後、キャビンへ向かって歩いていると驚く光景をみた。中華系乗客のと思われるグループが、ブッフェからの食事をプレートに載せてキャビンへお持ち帰りしているのだ。しかも今回のクルーズではこのようなシーンを何度も見た。これまで何度もクルーズに乗船しているが、ブッフェの食事をプレートごとキャビンに持ち込む光景を見たのは初めて。このようなな異文化の交錯する場所でインターナショナルなクルーズを提供する側の苦労を肌で感じた。


「レジェンドオブザシーズ」のプールサイド
奥に見える黄色の煙突は「コスタクラシカ」

ランチが終わり、船内に入居しているシアトルズベストコーヒーのショップを背後にエントランスロビーのあたりを散歩していると、どこからかオーソーレミーヨーの美しい歌声が聞こえてきた。さっそく近づいてみると乗客の一人と思われる男性が船のエンターティメントスタッフ(フィリピン人ギタリスト)とと一緒にセッションを組んでいた。tシャツにカジュアルパンツといったラフな服装だが、どこからその大音量が出てくるのかと思うほどの声量で、船内を歩く人もつい立ち止まって聞き入っていた。そして曲が終了したときは大きな拍手・・・。やはり上質の音楽は聴く人を爽やかな気持ちにさせますね。

ひととおりの船内見学とランチを終えるとだんだん疲れてきたので、キャビンに戻って一眠りした。出港時間の17:00までは未だ暫くある。アラームを16:30にセットして暫く休憩することにした。キャビンに戻りカメラの充電器をセットする。船内の電源はアメリカ使用の110ボルトだが、コンセントの形状は日本と変わらないので、ユニバーサル電源対応(100v~240vまで対応の電子機器)の日本の電化製品であればそのまま使用できる。最近は携帯電話やカメラの充電器にしても、パソコンにしてもユニバーサル対応が増えてきたのでこういう時は便利だ。目の前に海が広がる大きな各窓を背に暫くベッドに横たわることにした。ロイヤルカリビアンインターナショナルの船では日本の商船三井系船会社でよく見られる花毛布のかわりにバスタオルで作った動物がベッドにアクセントを添えている。今回はアヒルの形をしたバスタオルがベッドで待っていた。



並んで停泊している「クラシカ」と「レジェンド」
一つの係船ビットを共用していたため、
出港時にちょっとしたトラブルが発生

出港
16:30。アラームが鳴った。カメラを準備し身支度を終えてキャビンを出て、外甲板に出たときは既に16:45分。出港までわずか15分だ。岸壁では忙しそうにロープ周辺の確認作業が行われている。既にボーディングブリッジは取り外されており、出港時刻を待つだけだ・・・。甲板にも続々と見物客が集まってきた。

17:00。いよいよロープをはずし出港・・・と思ったのだが、ここでトラブル発生。今朝、ポートクラン港に着岸した際、隣に接岸している「コスタクラシカ」のほうが後から入港したため、岸壁の係船ビットから「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」のロープを外すのに難渋しているのだ。単純にレジェンド側のロープを外すことができないことがわかった段階で、係員は「クラシカ」とトランシーバーで交信、「クラシカ」の係船ロープを少し緩ませた後、「レジェンド」のロープを外そうとするのだがうまくいかない。この間も「クラシカ」の乗船タラップはかけられているので、万が一船が強風に流されたりしたら大事故になる。この後、「クラシカ」と「レジェンド」の係船策を締めたり緩めたりの作業を15分程繰り返した後、ついに「レジェンド」のロープが係船ビットから外れた。船上ではこの様子を見ていた乗客からは大拍手が沸き起こった。


係船索が外されると、
船はあっという間に港から離れていく

係船索が外されると、すでに船はゆっくりと動き始めた。徐々に岸壁との間が離れていくと機関が微速前進に入れられ、ポートクラン港とそこに停泊している「コスタクラシカ」がどんどん離れていく。ポートクランの港は大きな川沿いに作られたシンプルな構造で、港内での転回などはない。船はそのまま出船でシンガポールを目指す。

全く見応えのない地味な出港風景。そう思っていた瞬間、我が「レジェンド」が汽笛を3発鳴らし、あまりにも地味な出港シーンを盛り上げてくれた。驚いたのはこれに「コスタクラシカ」が、こちらも汽笛をさらに3発鳴らして応答したこと。「おーぉ」っと感性がどよめく中、「レジェンド」がさらにもう一発汽笛、そして「クラシカ」もさらにもう一発。「クラシカ」のブリッジでは、クルーたちがディズニーキャラクターを思わせる大きな手を振ってくれている。二隻のクルーズ客船による予想外のエンターティメントがに地味な出港シーンに花を添え、地味な中にも温かみのある出港シーンだった。


貨物船やコンテナ船の目立つポートクラン港(東側)

のどかなジャングルの広がる水路西側のマングローブ林
船は大きく広いポートクランの商業港を左手にゆっくりマラッカ海峡へ向かって南下する。右側にはマングローブの林がところ狭しと茂っていて、西表島の仲間川クルーズのようだ。きっとあのマングローブの林の中には、熱帯地方特有の巨大アサリやハマグリなどがたくさん潜んでいるんだろう。眼下の海(?)の色は赤茶色でまさにジャングルリバークルーズだ。これに対して左舷側は商業港としてやたら発展していて、たくさんのコンテナがところ狭しと積み上げられている。トレーラーや倉庫が立ち並び一大物流ターミナルの観を成している。長く続く岸壁には巨大なコンテナ船が何隻も接岸しており、クレーンが荷役作業に奔走している。赤道に近い港湾都市ポートクランにはなんともアンバランスな光景が広がっていた。


ポートクラン港外では
40,000トン超のjpo vellaとすれ違った
船は巨大なコンテナ船とも何隻かすれ違った後、少し船足をあげマラッカ海峡に差し掛かかり、インドネシアよりのマラッカ海峡を南下している。左舷側はポートディクソン沖に近づいてきた。このエリアではクアラルンプール国際空港に着陸する旅客機が上空を通るのをときどき目にする。海の色は相変わらず薄茶褐色だが、すこしは広々と海らしい雰囲気になってきた。やはりクルーズは、美しく青い海に白い航跡を描きながら、勢いよく大海原を進んでいくのが一番の醍醐味なのだが、今回の薄茶色の海ではロマンもいまひとつだ。


曇空のマラッカ海峡を航く
もう少し天気がよければ、少しは美しい海が見れたのかもしれない。なんといっても12月のマレー半島はモンスーン時期で、雨が降りやすく晴れる日が少ない。しかも熱帯地方の雨はバケツをひっくり返したように降るため、水はすぐに濁り透明度はすぐに失われてしまう。

とはいえ水の上を移動している浮遊感覚はやはり船旅ならでは・・・。せっかくの乗船を楽しまなければ・・・。あれこれ考えずに舷側、後部に描かれる航跡を眺めながらゆったりと時間過ごした。この船の船尾部の階段は美しくデザインされていて絵になるなぁ・・・。そう思いながら赤褐色の海に続く航跡を絡めて写真を撮ったのが右の写真。


ショップ
ひととおり出港風景を見た後、ショップがオープンしたというので、ロイヤルカリビアンのロゴグッズを探しに船内のショップに行ってみた。停泊中は政府関係者により許可が降りず、ショップはオープンできないらしい。ショップについてまず最初の印象は人、人、人。ほとんど年末年始のデパートのバーゲン売り場状態。臨時テーブルが出され、オバチャンたちが周りをかき分けて掘り出し物を探す・・・そんな雰囲気がここにあって・・・かなり幻滅・・・。挙句の果てには中国人クルーが大声で「この時計は2つで○○ドル・・・」と安売り合戦が始まる始末・・・。「あのーっ!これクルーズじゃなかったのぉーっ?もう少し品位を保って営業してくださいよーぅ」と不快な思いをしながら店内に入り、他のロゴグッズを探していると、先ほどのクルーが「この時計は二つで○○ドル、買っていかない」と声をかけられた・・。「no thank you」と丁寧に断り、あまりにも不快だったショップの訪問は後回しにすることにした。


マラッカ海峡の夕陽

夜のマストとレーダー
ショップオープンから二時間程して、客が少し引いたときを見計らって、もう一度ショップに足を踏み入れた・・・。先ほどの時計は既にすべて完売していたようだ。もともとロゴグッズではなかったので、興味もなかったが・・・。ロゴグッズとして購入しようと心に決めていたのはマグカップ、tシャツ、帽子だったのだが、手にとって見るとどれもあきれるほどにチープな作りで、すぐに壊れそうな代物だったため、残念ながら今回はすべてパス。rcclのロゴ付ウインドブレーカーには少し心が揺れたが、結局今回は何もロゴグッズを購入しなかった。

ショップを出て、臨時テーブルに広げられたバーゲン商品を除いてみると、シワクチャになったrcclのtシャツがワゴンに入っていた。マレー半島沿岸の町で特別に作ったのだろうか・・・。とにかくとにかくチープなtシャツで、これを着ると布越しに肌が透ける・・・。使えないじゃないか・・・。これまで何度も船旅をしているが、ロゴグッズを全く買わない(買えない)ことなど今までなかったから、これもかなりショックだった。

クルーズの基本はショッピングではない。醍醐味はやはり海を旅することだ・・・。やはり基本に戻ろう!気を取り直して外部甲板に出ると、もう陽が落ちる寸前のゆったりとした時間が流れていた。生憎の曇空のため、美しい夕日を眺めることはできなかったが、雲が絡んだオレンジ色の芸術を西の空に確認することができた。素晴らしい色合い・・・。心が洗われる気がする・・・。そう思いながら夜までの時間を甲板で過ごした。

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