3. 格安航空会社を利用する
格安航空会社(ローコストキャリア)というと安全面が気になるのですが、基本的にはそれぞれの国の大手航空会社と同じ安全基準で運行されているので、格安航空会社であるから必ずしも危険な航空会社であるということにはなりません。パイロットの訓練や飛行機の整備に関しては格安航空会社といえども手抜きは許されず、各国政府により大手航空会社と同様の基準で監査を受けています。また機体年齢に関していえば、格安航空会社のほうが大手航空会社よりはるかに新しい機体を使っているケースも珍しくありません。たとえばマレーシアのエアアジアの平均機材年齢は2.9年(52機 2010年9月)、フィリピンのセブパシフィック航空は3.3年(29機 2010年8月)ですが、全日空の平均機材年齢は9.4年(212機 2007年)、日本航空に関しては11.5年(276機 2007年)となっています。もちろん航空会社の安全性は機体年齢だけでは語れないのですが、格安航空会社=危険な会社という方程式は必ずしも成り立たないのです。とはいえ、発展途上国の航空会社は、万一の際の補償金額が先進国の大手航空会社と比べ大きく差があるケースが多いので、このあたりは十分理解の上、搭乗する必要があります。
エアアジアの場合 - 2010年12月9日羽田空港へ就航決定!
さて、実際の格安航空会社の航空券の値段ですが、目を丸くするほどの低運賃が設定されていることもあり驚かされます。たとえばマレーシアのエアアジアでは、2009年度から2010年度にかけて大々的なゼロフェアのキャンペーンを何本も打ち出しました。たとえばクアラルンプールからオーストラリアのメルボルン、パース、シドニー、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシア各地、シンガポールへの運賃がゼロというわけです。
また同社では、ゼロフェアキャンペーン以外でも各地への航空券を日本円にして千円以内の格安で販売することも多くあります。ちなみに筆者はエアアジアのゼロフェアで、クアラルンプール - プーケット間、およびクアラルンプール - パース間、クアラルンプール - ホーチミンシティー間、クアラルンプール - シンガポール間のフライトを取得した経験がありますが、どの路線も機材は新しく、快適なフライトを楽しむことができたことをお伝えしておきます。なお、このエアアジア(エアアジア X)は2010年12月9日より羽田就航が決まっているらしいので、日本からマレーシア・アジア各国への訪問がますます便利になるに違いありません。
なおエアアジアについては、これだけ安価の航空券を提供する航空会社なので、安全面を除く旅客サービスの簡素化振りは徹底しています。エアアジア利用においては注意したいポイントを下記に列挙しましたので参考にしてください。
キャンセル画面
クアラルンプールLCCTでの
セルフチェックイン機
これを使用すると、グループでも
別々の席が割り当てられるので注意
クアラルンプールLCCTでは
飛行機まで歩いて搭乗する
- 予約は基本的にインターネットのみ受付だが、マレーシア国内ではエアアジアオフィスでも受け付けている。
- 予約後のキャンセル・払い戻しは不可。
- エアアジアのチケットを予約するとデフォルトで AirAsia GoInsure (旅行損害保険)の購入が選択されるが、これについては購入前にAIRASIA INSURE TRAVEL PROTECTIONの項目で[Cancel]をクリックすることによって非加入を選択できる。フライト日付変更などが行われたときには、この保険は強制的に外されるため必要かどうかは疑問。通常のクレジットカードなどについている海外旅行保険で十文かも。[右上の画面イメージを参照]
- 予約後の路線変更はいかなる場合でも不可。
- 予約後のフライト時刻変更について
- 出発時刻の48時間前に限り可能
- 変更後のフライトの方が安くても払い戻しは行われない。
- 変更手数料がかかる。(かなり高額)
- 航空会社側の都合で、予約便の出発時刻が1時間以上変更された場合は、無料で当該路線の希望便を再選択可能。
このオプションによるフライト時刻の変更を2009年7月にクアラルンプール - プーケット線で経験したが、この時は、日付も含めて変更に応じてくださり、大変好印象だった記憶がある。ただし、保険(AirAsia GoInsure Travel Protection)については、新しい日付に変更されないので、変更後のフライトについての保険はナシということになりました。
1時間以上の出発時刻変更に伴う対応についてはエアアジアの担当者(Ann)より2010/07/29 13:32に下記のメールを受け取っている。
Pleased be informed that your flight has been retimed more than one hour. The options are provided to move flight within the same day. Kindly provide us the time that you would like move. The options provided for once moved only.
あなたのフライトは1時間以上の時刻変更が行われています。このため、あなたは同日のフライトに限り、お望みのフライトに変更可能です。ご希望のフライト時刻を知らせてください。このオプションによる変更は一度限り有効です。
逆に1時間未満の時刻変更の場合はフライトの変更、キャンセルも含めて一切相談に応じてくれない。筆者もエアラインの都合による30分程度の時刻変更を経験したが(下記掲載のクアラルンプール - ホーチミン線)、フライトの変更に関する相談には全く応じてくれず、変更希望便のフライト料金との差額に加えて手数料90リンギ/人を要求された。
- 予約便に乗り遅れた場合は予約したチケットは無効となり、再度航空券を購入する必要がある。
- 搭乗しなかった際の税金・空港使用料の払い戻しは可能だが、手数料がかかる。払戻の申請はその都度メールにて行う。
- クアラルンプール(LCCT)にて乗り継ぎを行い、フィリピンやインド、スリランカなど別の目的地に向かうことも可能だが、一般の航空会社のように荷物をスルーで目的地まで預けたりすることはできない場合が多い。また、航空機の遅延などの理由で万一乗り継ぎ便に乗り遅れたりしたとしても一切の保証はない。なお、クアラルンプール(LCCT)で他のエアアジア便に乗継を行う場合、一度イミグレーションを出て再度チェックインを行う必要がある。最近のポリシー変更により一部の便、(日本発着便に関してはバンコク、シンガポール、バリ(デンパサール)、メダンなど)はFLY-THRUサービスにより乗継ができるようになったが、このサービスを利用できるのは、出発地から到着地までのチケットをFLY-THRU扱いの一つの予約番号で購入した場合に限られる。FLY-THRUサービス対応区間であっても異なる予約番号をもつフライトについては荷物のスルーチェックインなどはできない。なおFLY-THRUチケットの場合、乗継空港(現在のところクアラルンプールLCCT)にてイミグレーションを出ることはできず乗継ロビーで次のフライトを待つことになる。(2011年9月24日追記)
- 荷物の預け入れは別料金。必要な場合は予約時に同時購入すると割引を受けられるが、当日カウンターで依頼すると割高。
- 事前座席指定は別料金。
クアラルンプールのLCCTにはセルフチェックイン機があるが、事前座席指定(有料)していない場合は、これを使うとグループで同時チェックインしてもばらばらの席があてがわれる。事前座席指定をしていない場合で、夫婦、友人同士、家族での旅行の場合はセルフチェックイン機を使わずカウンターでチェックインし、希望の座席アサインをリクエストしよう。ばらばらの席があてがわれた場合、後からカウンターに行っても相談には一切応じてくれない。
ただし、2011年9月21日よりチェックインカウンターでのチェックイン手続きが別料金(RM10)となった。これは自動チェックイン機でのチェックインの利用率を上げるための措置で、グループでの旅行の場合など希望の席を望む場合については事実上の値上げである。国際線については各国の法規制によりチェックインカウンターでのチェックインに料金を加算されないケースもある。(2011年9月24日追記) - 機内での食事・飲料の提供は有償。予約時にウェブで同時に購入すると割引が受けられる。
- エアアジアのクアラルンプール側ターミナルはLCCT。通常の航空会社が使うビルとは8Km離れており連絡バス(有料 05:00am-07:00pmまで)で連絡している。タクシーを使うと約40リンギ(約1,200円)。
- 問い合わせの電話はPremium Customer Service Lineと称して有料。E-Mailを使ってクレームすることもできるが、トラブル時の対応は遅く手間と時間が相当かかると思ったほうがいい。予約の際には不注意による無駄なトラブルを起こさないよう十分注意しよう!
エアアジアをはじめ格安航空会社は、ほとんどの場合、大手航空会社の利用する通常の空港ターミナルではなく格安航空会社専用のターミナルビルを使っています。たとえばクアラルンプールでは日本航空やマレーシア航空などが使っているクアラルンプール国際空港(KLIA)ターミナルと、エアアジアやセブパシフィック航空が使用している格安航空専用ターミナル(LCCT)とは異なった場所にあります。どちらの空港ビルを利用している航空会社もも、同じ空港の同じ滑走路を使っているのですが、旅客ターミナルビルが空港施設の敷地をはさんで建っているため、両ターミナル間を行き来するためには、バスかタクシーを使い空港の敷地を大回りしなければなりません。この道のりはバスで約30分ほど(約8Km)とかなり不便です。
パスポートコントロール前ビジネスセンター
パスポートコントロール後
クアラルンプールLCCTにも Plaza Premum Lounge と呼ばれる空港ラウンジはあり、料金(118RM 約3,500円 / 2時間、RM158 / 5時間、RM178 / 6-10時間)を支払えば誰でも利用できます。こちらは出国手続を通過する前にビジネスセンターが、そして出国手続を超えた後にメインラウンジが設置されています。ただし設備もかなりシンプルなので高い期待は禁物です。
乗継等の理由で、長時間LCCTに滞在しなければいけない場合はスターバックス(無料でWiFiが使用可能)か、徒歩10分程(有料シャトルバスあり)のTune Hotel LCCTのデイタイムユースがお奨めです。午前9:00 - 午後6:00の間であれば、3時間までの休憩パックでRM60.00でシャワー、ベッド、エアコン、WiFiを使用することができます。
また、格安航空会社の場合、一部の例外を除き、予約・清算処理は基本的にインターネットのみで行われます。加えて、機内での食事、飲み物のサービスは有償である場合が多く、航空券については一度予約を行うと基本的にはキャンセルできません。さらに、電話応対窓口の係員の数が少ないので、予約の手続きの段階でミスをすると、訂正のために大変な時間と手間を強いられることになります。(予約関係の電話応対窓口への電話は有料で一分毎に料金が加算されます。また係員が電話に応対するまでの待たされている間の自動音声案内中も料金が加算されるため電話料金が高額になります。)それで、予約作業は十分慎重に行ない、無駄なトラブルは是非とも最初から避けましょう。
また、万一クレジットカードの支払情報を間違えて手続きしてしまうと、航空会社側のサーバーでカードのブロックがかかってしまい、最悪その後の手続きができなくなるケースもあります。この場合、ロック解除のために航空会社に電話かメールで連絡することになるのですが、上述のとおり、電話が簡単に繋がることはまずなく、1分ごとに料金が加算されるカスタマーサービスに、何度も長時間電話する羽目になってしまします。これでは格安どころではなくなってしまいますね。
レシートのような感熱紙に印刷されている
搭乗時に渡される搭乗券はレシートのようなものに印字されており、搭乗ゲートと、集合時刻、座席指定が行われる場合には座席番号が印刷されています。通常の大手エアラインのようにミールサービスは有償となり、対象者も限られているため、短めのフライトの場合、食事を摂らない乗客も多く、その分、飛行機のキャビン内は清潔で機内食の独特の匂いに悩まされることもありません。格安航空会社ではありますが座席は革張りのシートがかぶされていて清潔で高級感があります。ただしシートピッチは短いので、長距離フライトは通常シートでは少し辛いかもしれません。この点、エアアジア Xの運行するA330, A340機では、席を四つのカテゴリから選ぶことができ、ニーズに合わせてEconomy(最も安いカテゴリー), Hot Seat(キャビン前方、もしくは非常口の前の列), Standard Seats(通常のエコノミーシートより少しゆとりのあるスペース), Premium Economy(ビジネスクラスに相当する快適なシート)の4つのクラスから好みのシートを選択できます。
ゼロフェアやUSD1.00フェアなど、とてつもない非常識な運賃を提示してくるエアアジアは興味のつきないエアラインだ。これからのますますの発展を期待したい。
実際に利用したエアアジアフライトの例(右)
クアラルンプール - ホーチミンシティー間(往復)がゼロフェア。費用は空港使用料と税金とConvinience Fee (クレジットカードを使用するとかかる)のみで(二人で170リンギ、約5100円程度)。
予約後のフライト再確認は、エアアジアのウェブサイトの My flights -> Manage my booking から行うことができる。予約番号(6桁の英数字)と、搭乗年月日、搭乗地、行先、E-Mailを入力が必要になるのでお忘れなく。
海外をベースに就航している格安航空会社を含めるとかなりの数に上りますが、日本路線に就航しているものだけを下表にまとめてみました。
格安航空会社 | 詳細 | おトク度 |
エアアジア | 2010年12月羽田空港乗り入れ開始。羽田 - クアラルンプールの就航記念キャンペーンは片道5,000円、クアラルンプール - 羽田はUSD34.00から。2011年11月30日より大阪(関西)にも乗り入れ開始する。関西への就航記念キャンペーン価格は日本発クアラルンプールゆき最安3,931円から。ハブ空港はクアラルンプールで、クアラルンプールからアジア各地、オセアニア、ヨーロッパへの便を運行する。ゼロフェア、半額のキャンペーンも多々打ち出すので必見。 | ★★★★ |
セブパシフィック | フィリピンの格安航空会社。関空とマニラ間を結ぶ。以前就航当初にキャンペーンで日本ーマニラ間が0円で購入できた。以前筆者も就航記念キャンペーンで0円フライト、後に半額キャンペーンで片道 P2,999(約6,000円)で利用した経験がある。日本線に就航している機体はそれほど古くなかった。機内でのエンターティメントがないかわりに、キャビンアテンダントなどによるじゃんけんゲームなどが行われゲームに勝つと記念品をもらうことができる。機内では日本円とフィリピンペソが使える。 | ★★★★ |
春秋航空 | 上海の格安航空会社。上海 - 茨城間に毎週3便就航(一部は成田発着)。運賃は片道4,000円からとかなりインパクトのある値段。(燃油サーチャージ2,150円別途徴収。)フライト利用時には茨城空港から東京駅までシャトルバス(500円)を利用できる。 | ★★★★ |
ジェットスター | オーストラリアの格安航空会社。成田とオーストラリア・ニュージーランド、関空とオーストラリア・ニュージーランド・台湾・シンガポールを結ぶ。アジアクルーズ旅行計画の人は除く価値あり!目玉料金は関西発台湾往復12,000円から。関西発シンガポール往復28,000円から | ★★★ |
チェジュ航空 | 韓国の格安航行会社。関西・名古屋・北九州と韓国を結ぶ。特に九州方面在住の方に便利。ウェブサイトが重く表示も乱れることが多いのでわかりにくい。 | ★★ |
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